社員からの問い合わせ

令和6年(2024年)は所得税減税・住民税減税が実施されましたが、年末調整のやり方に何か影響はあるのでしょうか?

住民税は令和5年(2023年)の所得に基づいて令和6年(2024年)の住民税に反映されているため何も影響は受けないよ。
所得税に関しては令和6年(2024年)6月以前から給与や賞与を受け取っている社員分とそうでない社員分とで年末調整のやり方に違いがあり、6月から給与や賞与をを受け取っている社員分は月次減税事務をし、7月以降給与や賞与を受け取り始めた社員分は年調減税事務をするよ。

令和6年(2024年)6月以前から給与や賞与を受け取っていた社員とそうでない社員でどのような違いがあるのですか?

まず、月次減税事務の説明をしますね。
会社は月々の給与や賞与から所得税を計算し、その所得税から減税対象金額を引いていきます。
所得税から減税対象金額を引ききれない場合は翌月の給与や年内の次の賞与から引いていきます。減税対象額がすべて引ききれた場合は通常の年末調整処理をすればOKです。
この月次減税事務ですべての対象額が減税できなかった場合には年調減税事務対象となるよ。

次に年調減税事務の説明をしますね。
年調減税事務対象の社員は上で説明した、月次減税事務の結果、減税額が引ききれなかった社員分と令和6年(2024年)7月以降、給与・賞与を受け取り始めた社員分が対象となるよ。

6月以前から給与や賞与を受け取っていた社員分と7月から給与や賞与を受け取った社員分とは同じ考え方で年調減税事務をしてもいいのですか?

同じ年調減税事務と言っても厳密に言うと、処理内容は異なるよ。

どのように処理が異なるのですか?

まず、月次減税事務の対象である社員分は本来徴収する所得税から減税分を引いているので、その分を考慮して年間の所得税金額を計算しなくてはならないし、月次減税事務対象でなかった社員分は通常の年末調整計算をした後で所得税減税対象金額を差し引く形になるよ。
また、住宅ローン減税対象者はを住宅ローン控除を差し引いた後で所得税減税分を引くようにとなっているよ。

わかりました。とにかくややこしいですね。
年調減税事務でも減税対象額を引ききれなかった社員はどうなるのですか?

引ききれなかった場合は社員が届け出をしている市町村から減税しきれなかった金額を1万円単位に切り上げて支給されるということになっています。

1万円単位に切り上げるということは、引ききれなかった社員は得するということですよね?

そういうことになるね。

それって不公平ではないのですか?
公平性を保つことや事務業務に対する負担をなくすためには給付のほうがよかったのではないですか?

ここでそんな話をされても、どうすることもできないけどね。
賛否両論あるけど、河野デジタル担当大臣が自民党総裁選で公約に掲げた年調廃止をすればこのようなこともなくなるのだけどね。こんなことは民間企業の仕事ではなく国の仕事だからね。
こんなことをしてるから日本の中小企業の生産性は益々上がらなくなるんだよ。

自分で減税計算、年末調整をシミュレーションしてみたいのですが、ややこしいので、
昨年と同様に年末調整シミュレーションシートを作ってもらえませんか?

仕方ないですね。
- このシートは本人の収入、定額減税額、本来徴収されるはずだった所得税額、本人・配偶者関連の控除、扶養関連の控除、保険料関連および住宅ローン減税のブロックに分けて入力するようになっています
- その入力された情報から所得税額(源泉徴収税額)や年末調整で還付・追徴される金額を求めることができます

ここからダウンロードして下さい。
セルにロックをかけていないので、式を壊さないように注意して下さい。

定額減税計算のために注意するポイント
- EXCELシートの左側の部分『給与・賞与支払合計蘭』に1月から受取った給与・賞与を入力します
- 面倒な場合は11月の欄(18行目)に受け取った給与・賞与をD列に、支払った社会保険料をE列に、本来支払うはずだった所得税(源泉徴収)額をF列に入力します
- 各月に入力するのが面倒な場合はどこかの月に給与だけでなく賞与分もまとめて大丈夫です
- 所得税徴収税額欄(H列)は計算式がはいっているため入力しません
- 定額減税対象額は本人・配偶者関連控除ブロックと扶養関連控除ブロックの情報から算出するような仕様にしています
令和6年(2024年)6月以前から給与・賞与を受け取っている社員
- 所得税減税額欄(セルG13~G22)に6月からの減税額を入力します
- 各月に入力するのが面倒な場合はどこかの月に給与だけでなく賞与分もまとめて大丈夫です
令和6年(2024年)6月以前から給与・賞与を受け取っていて住宅ローン控除がある社員
- セルK22に住宅ローン控除額を入力します
- 11月の段階で定額減税対象額を全額引かれている社員は関係ありませんが、所得税減税分が引ききれていない場合はその状態で住宅ローン控除分を引くような仕様になっています
- その結果、住宅ローン控除分が引ききれない場合は住宅ローン控除残額は住民税から、残りの所得減税分は市町村からの給付(セルK31の数値)となります
令和6年(2024年)7月以降から給与・賞与を受け取り始めた社員
- 所得税減税額欄(セルG13~G22)の入力は不要です
令和6年(2024年)7月以降から給与・賞与を受け取り初めて住宅ローン控除がある社員
- セルK22に住宅ローン控除額を入力します
- 住宅ローン控除額を所得税額から控除した上で定額減税対象額を引きます
- その結果、住宅ローン控除対象額が所得税額から引ききれた場合は関係ありませんが、そうでない場合は残りの控除額は住民税から差し引き、定額減税対象額の全額が市町村からの給付(セルK31の数値)となります
基本的な使い方
給与・賞与支払の合計

給与・賞与支払ブロック
ここでは会社から支払われた給与・賞与と徴収された社会保険料および所得税を毎月もらっている給与明細や賞与明細を基に入力します。
さらに2024年6月以前から給与・賞与を受け取っている場合は6月から月次減税処理がされているので、その減税額を入力します。
画像のようにいずれかの行にまとめて入力してもいいですし、電卓等で合計して入力するのであれば、月ごとに入力して計算はEXCELに任せるというやり方もできます。
入力項目
収入
- 月々の給与
- 賞与
徴収
- 月々の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)
- 月々の所得税(仮徴収)
- 賞与における社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)
- 賞与における所得税(仮徴収)
- 6月以降の減税額(給与・賞与分)

出典:国税庁 No.1410 給与所得控除
本人・配偶者関連控除/所得金額調整控除

年末調整計算・基礎控除計算および配偶者控除入力
ここでは会社から支払われた給与・賞与をもとにご自身の収入から基礎控除額を計算します。
また、配偶者の収入・年齢を入力し、配偶者を扶養に入れている場合や配偶者の所得を基に配偶者控除や扶養に入れていなくても一定の所得までは特別に控除をする配偶者特別控除の額を計算します。
合わせて、住宅ローン控除額も入力しますが、所得控除額には影響しません。
入力・選択項目
- 配偶者の有無(選択)
- 配偶者の収入
- 配偶者の年齢
- 住宅ローン控除額
扶養関連控除
ここでは本人がひとり親や寡婦であるかを選択するとともに被扶養者の年齢、障害区分ごとの対象人数を入力します
入力・選択項目
- ひとり親・寡婦の対象かを選択します
- 15歳以下の被扶養者の人数を入力します
- 16歳~18歳の被扶養者の人数を入力します
- 19歳~22歳の被扶養者の人数を入力します
- 23歳~69歳の被扶養者の人数を入力します
- 70歳以上の同居で扶養している父母・祖父母の人数を入力します
- 70歳以上の同居で扶養している父母・祖父母以外の人数を入力します
- 一般障害である本人または被扶養者の人数を入力します
- 特別障害である本人または同居していない被扶養者の人数を入力します
- 特別障害の同居している被扶養者の人数を入力します
保険料関連控除
ここでは生命保険等、各種保険料の控除対象金額を入力します。
入力・選択項目
- 一般保険料(新)控除対象額を入力します
- 一般保険料(旧)控除対象額を入力します
- 介護保険料控除対象額を入力します
- 個人年金保険料(新)控除対象額を入力します
- 個人年金保険料(旧)控除対象額を入力します
- 地震保険料控除対象額を入力します
- 旧長期損害保険料控除対象額を入力します
- 国民年金保険料の支払額を入力します
- 国民健康保険料の支払額を入力します
- 国民年金基金加入者掛金額を入力します
- 小規模企業共済掛金額を入力します(iDeCoの拠出金額はここに入力します)