新入社員からの問い合わせ
新入社員の初任給から健康保険料、厚生年金保険料は天引きされない
2025年4月に入社した新入社員なのですが、先日（4月25日）に初任給をいただき、給与明細を確認したのですが、住民税、健康保険料、厚生年金保険料は天引きされていなかったのですが、何故ですか？
住民税は昨年（2024年）の所得に対する税金であり、その時点では会社に所属してなかったわけだから、会社からお住いの市町村に住民税を納付することはないため、給与から天引きしていないだよ。仮に昨年の所得が多くて住民税を納めないといなけない場合は普通徴収の納付書が市町村から届くので、ご自身で納付してください。
健康保険と厚生年金保険は基本的に後払いとなっているため、4月の健康保険料と厚生年金保険料は5月に会社に請求がくるので、5月の給与から天引きします。
今月の振込額はイレギュラーであるため、来月以降の振込額を考えて生活設計をしてくださいね。
ご説明ありがとうございました。
来月以降の生活設計といっても、具体的な健康保険料と厚生年金保険料がわからないので、教えていただけないでしょうか？
健康保険料は組合単位・都道府県単位で異なる
わかりました、これから健康保険料と厚生年金保険料の説明をしますが、その前提として、うちの会社の社員は全国健康保険協会（通称：協会けんぽ）の被用者となっていることを理解しておいてください。
全国健康保険協会以外の被用者以外にはなにかあるのですか？
全国健康保険協会以外には主に大企業被用者などを対象とした、健康保険組合連合会（通称：組合健保）があります。 厚生年金は協会・組合どちらの被用者であるかにかかわらず、一律の基準で保険料が決められていますが、健康保険は協会けんぽであれば都道府県別に保険料が異なりますし、組合健保であれば健康保険組合の母体となっている企業毎に被保険者負担と事業主負担の負担率が異なったり、標準報酬月額毎の保険料が異なります。
天引きされる健康保険料と厚生年金保険料
当社の社員は協会けんぽの被用者で大阪支部に所属していますので、協会けんぽのホームページに掲載されている保険料額表の大阪支部のpdfを見れば保険料がわかります。
協会けんぽ保険料額表（大阪）
お問い合わせいただいた健康保険料は9,728円、厚生年金保険料は17,385円、合計27,113円が5月の給与から天引きされることになります。
ちなみに兵庫支部だった場合、健康保険料は9,652円、厚生年金保険料は17,385円、合計27,037円となり、大阪支部よりは若干保険料が安くなっています。
保険料額表が掲載されている協会けんぽのホームページのリンクを掲載しておきますので、必要な場合は参照下さい。
ありがとうございました。この内容で来月以降の生活設計・収支計画を作成したいと思います。
厚生年金保険料は一律
ここまで、具体的に社会保険料はいくら支払うことになるかを説明してきましたが、厚生年金保険料は健康保険料と違い、組合や協会ならびに都道府県の違いに関係なく一律で求めることができます。
健康保険料、厚生年金保険料保険料はいつ変更になる
ところで、今回説明いただいた保険料はいつまで適用となるのですか？
基本的に標準報酬月額が同じである場合で健康保険料が変更になる可能性があるのは毎年4月なので翌年4月までは変更されないよ。また、保険料に影響のある標準報酬月額も基本的には翌年10月までは変更されることはないよ。
但し、固定的な給与の変更（残業代の変動は含まない）が発生した場合には年金事務所に月額変更届を提出して標準報酬月額を変更しなきゃいけないんだ。そうすると標準報酬月額を基に計算している保険料は必然的に変わることになるよね。
健康保険料率の変更
全国健康保険協会は健康保険料率の変更がある場合は基本的に毎年4月に都道府県単位に実施されます。 健康保険組合連合会は見直しを実施するタイミングが定期的であるか否かは不明ですのでご了承下さい。
標準報酬月額の変更
標準報酬月額の変更は次の２つのタイミングで実施されます。
- 固定的支給額に変更があった場合
- 定期的な標準報酬月額の再計算
固定的支給額に変更があった場合
基本給など勤務時間に影響を受けない手当の変更（時給、日給の変更も含む）があった場合に変更があった月から3か月間の固定的支給額から平均報酬月額を求め、その報酬月額で求めた標準報酬月額が以前の標準報酬月額から2級以上変動する場合は年金事務所に月額変更届を提出し、年金事務所からの標準報酬月額決定通知に記載された適用年月をもって標準報酬月額を変更します。
固定的支給額の変更例には転勤よる単身赴任手当や住宅手当の増減、臨時的な昇給、こどもが生まれて家族手当が支給された、こどもが就職して家族手当の支給が停止された、引っ越しによる通勤手当の増減などが挙げられます。
定期的な標準報酬月額の再計算
全社員の毎年4月から6月に支払われた給与の総支給額（通勤手当を含む）を年金事務所に報告（提出）し、その報告を基に年金事務所にて標準報酬月額を再計算します。 年金事務所からの標準報酬月額決定通知に記載された標準報酬月額に変更します。
標準報酬月額と厚生年金保険料を計算できるEXCELシート
基本的に保健料の見直しは年２回あり、臨時での月額変更もあるとの理解でよろしいでしょうか？
その理解でいいと思います。
そのような変更がある際、自分の標準報酬月額がいくらになるのか把握したいのですけど、毎回、お聞きするのもご迷惑なのですが、何かいい方法はないでしょうか？
総支給額から標準報酬月額や厚生年金保険料を計算できるEXCELシートをもっているので、それを渡そうか？
是非、使わせて下さい。
厚生年金保険料計算シート
ここからダウンロードして下さい。
セルにロックをかけていないので、式を壊さないように注意して下さい。
３か月間の総支給額の入力
セルC6,D6,E6に支給額に変動があった１か月目から３か月目の総支給額を入力します。 入力する金額はその月に受け取った（給与振り込みを受けた）金額ですので、間違わないようにしてください。
新入社員の場合は雇用契約書等で通知された給与を入力します。
３か月間の総支給額に基づく標準報酬月額の算出
標準報酬月額算出結果
３か月間の総支給額と厚生年金保険の保険料額表に基づいて標準報酬月額を算出します。その際、保険料額表で該当した標準報酬月額行が薄緑色で反転表示します。
標準報酬月額に基づく厚生年金保険料の算出
厚生年金保険料計算結果
計算された標準報酬月額に基づいて求めた厚生年金保険料が上段の厚生年金保険料欄に赤の太文字で表示されます。（厚生年金額のうち、国民年金保険料がいくらで厚生年金負担料率がいくらであるかも合わせて表示しています）
ありがとうございました。
