令和7年(2025年)版 年末調整計算が自分でできるEXCELシート

令和7年版年末調整計算EXCELシート Excel関数
令和7年版年末調整計算EXCELシート

社員からの問い合わせ

令和7年(2025年)の年末調整はこれまでにない大幅な改定があると聞いたのですが、その内容について教えていただけないでしょうか? 大幅に税金が安くなるのでしょうか? 手間だけかかって変わらないということはないですよね。

うちの会社はスマホで年末調整申告をしているからそれほど影響はないと思うけど、給与がそれなりにある人や扶養家族がいない人はそれほど安くはならないよ。

逆に旧態依然として紙で申告書を提出・回収している会社の社員は手間がかかるわりに税金は安くならず負担感だけ増えるだろうね。

ただ、スマホで申告する場合でも、扶養家族がいる場合は家族の給与収入や所得を正確に把握しておかないと扶養に該当するか否かを間違えてしまう可能性があるよ。

具体的な改定ポイントについて教えてください。

令和7年(2025年)の年末調整で変わること

  1. 基礎控除の改定
  2. 給与所得控除の改定
  3. 扶養対象となる年収金額の改定
  4. 特定親族特別控除の新設
  5. 住宅ローン控除・残高証明の提出不要

概要はこんなところだよ。

この内容について説明いただけませんか?

令和7年(2025年)の年末調整で変わること

基礎控除の改定

令和6年(2024年)まで合計所得が2,400万円以下は一律48万円の基礎控除額でしたが、令和7年(2025年)は下表のように合計所得によって基礎控除額は48万円から95万円となります。

令和7年基礎控除額比較表

令和6年と令和7年の基礎控除額比較表

住民税の基礎控除額(43万円)に変更はなく、基礎控除に関する住民税の減額はありません。

給与所得控除の改定

令和7年(2025年)の給与所得控除額は下表のようになります。

令和6年と令和7年の給与所得控除額比較表

令和6年と令和7年の給与所得控除額比較表

給与収入が190万円以上の人たちは令和6年から給与所得控除額は変わらないということですか?

そういうことだね。

給与所得控除の改定によって、給与収入が190万円以下の人は住民税が1万円程度安くなります。

扶養対象となる年収金額の改定

令和7年(2025年)は所得税および住民税計算における被扶養者になることができる年間所得額は48万円から10万円増えて58万円となりました。

103万円の壁との関係はどうなるのでしょうか?

103万円の壁は給与収入のある人が被扶養者となれる年間収入額だから、給与所得控除の増額分である10万円と合わせて20万円分壁が持ち上がって123万円となるね。

給与ではない収入がある(例えば年金生活者や事業所得のある人など)家族を扶養に入れる場合はどのように判断したらいいのですか?

年金だけで生活している年金生活者の場合は年金収入から公的年金控除額(65歳以上は110万円、65歳未満は60万円)を引いた額が58万円以下であれば被扶養者になることができるし、事業所得者の場合は売上から経費等を引いた事業所得が58万円以下であれば被扶養者になることができるよ。

大学生のアルバイトについても給与収入123万円が上限となるのですか?

大学生相当の年齢(12月31日時点で19歳以上から23歳未満)に該当する人たちには新たなルールが設けられたんだ。詳しくは次の章で説明するよ。

特定親族特別控除の新設

下表のように大学生相当の年齢(12月31日時点で19歳から23歳未満)に該当する人たちの給与収入が123万円を超えても188万円までは控除を受けられるようになりました。(特定親族本人が受けられる控除ではありません)

特定親族特別控除額

特定親族特別控除額

特定親族の住民税について

特定親族の給与収入が123万円を超えてしまうと収入を得ている本人に課税所得に対して約10%の住民税が発生します

社会保険の扶養について

令和7年9月30日までは給与収入が130万円以上になると社会保険の扶養から外れなければなりませんでしたが、令和7年10月1日から給与収入が150万円までは社会保険の扶養条件を満たすことになりました。

住宅ローン控除・残高証明の提出不要

住宅ローンを組んでいる人はそのローンの年末残高証明書が金融機関から送られて来ていましたが、今年から住宅ローンを組んでいる金融機関から直接税務署に提出し、税務署から残高証明を住宅ローンを組んでいる人におくるという調書方式に変わるため、提出不要となります。

住宅ローン残高証明書の提出が不要になったといっても『住宅借入金等特別控除申告書兼住宅借入金等特別控除計算明細書』の提出がなくなるわけではないので、年末調整担当者の労力は変わらないのだけどね。ひどい場合は申告書を未記入で提出してきて、担当者に記入させようとする社員もいるんだよ。

年末調整計算が自分でできるEXCELシートについて

説明ありがとうございました。でも、ややこしいので、簡単に年末調整計算ができるEXCELをつくってもらえませんか?

説明した意味が…

できましたので、ここからダウンロードして下さい。

セルにロックをかけていないので、式を壊さないように注意して下さい。

ダウンロードはこちら

ありがとうございました。早速、計算してみます。
このEXCELシートは勤務する会社での年末調整計算ができるようにしたものですので、副収入がある場合はこのシートは使えませんのでご了承ください。
  • このシートは本人の収入、本人・配偶者関連の控除、扶養関連の控除、保険料関連および住宅ローン減税のブロックに分けて入力するようになっています。
  • その入力された情報から所得税額(源泉徴収税額)や年末調整で還付・追徴される金額を求めることができます。

給与・賞与支払の合計

ここでは会社から支払われた給与・賞与と徴収された社会保険料および所得税を毎月もらっている給与明細や賞与明細を基に入力します。

上図のようにいずれかの行にまとめて入力してもいいですし、電卓等で合計して入力するのであれば、月ごとに入力して計算はEXCELに任せるというやり方もできます。

入力項目

収入
  • 月々の給与額を入力
  • 賞与額を入力
徴収
  • 月々の社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)を入力
  • 月々の所得税(仮徴収)を入力
  • 賞与における社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)を入力
  • 賞与における所得税(仮徴収)を入力
年間合計行は上書きしないようにして下さい(計算式が壊れてしまいます)

令和6年と令和7年の給与所得控除額比較表

令和6年と令和7年の給与所得控除額比較表

このブロックを入力することで上図の令和7年以降の条件に基づいてセルH4(給与所得控除後の金額)の値が計算されます
年末調整課税対象欄

年末調整課税対象欄

本人・配偶者関連控除/所得金額調整控除

年末調整計算・基礎控除計算および配偶者控除入力

年末調整計算・基礎控除計算および配偶者控除入力

入力・選択項目

  • 基礎控除額(基礎控除額計算条件に基づき自動計算)
  • 基礎控除の税区分(給与所得に基づき自動設定)
  • 配偶者の有無を選択
  • 配偶者の給与収入を入力
  • 配偶者のその他の所得(給与所得以外の所得入力)を入力
  • 配偶者の所得(自動計算された給与所得とその他の所得の合計)
  • 配偶者の年齢を選択(70歳未満か否か)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除(自動計算)

配偶者の給与収入・その他所得・年齢等を入力し、配偶者を扶養に入れている場合や配偶者の所得を基に配偶者控除や扶養に入れていなくても一定の所得までは特別に控除をする配偶者特別控除の額を計算します。

このブロックを入力することで『ご自身の基礎控除額』と『配偶者控除・配偶者特別控除』が計算されます
所得金額調整控除は『扶養関連控除』ブロックを入力しなければ計算されません

扶養関連控除

扶養控除計算

扶養控除計算

入力・選択項目

特定扶養もしくは特定親族特別控除対象者以外の扶養条件は所得が58万円・給与収入で123万円が対象となります
  • ひとり親・寡婦の対象かを選択
  • 15歳以下の被扶養者の人数を入力
  • 16歳~18歳の被扶養者の人数を入力
  • 23歳~69歳の被扶養者の人数を入力
  • 70歳以上の同居で扶養している父母・祖父母の人数を入力
  • 70歳以上の同居で扶養している父母・祖父母以外の人数を入力
扶養対象となっていない(所得が58万円以下・給与収入で123万円以下)場合は障害者控除対象者となりません
  • 一般障害である本人または被扶養者の人数を入力
  • 特別障害である本人または同居していない被扶養者の人数を入力
  • 特別障害の同居している被扶養者の人数を入力
特定扶養は障害者控除対象者となりますが、特定親族特別控除対象者は障害者控除対象者となりません
  • 19歳~23歳の特定扶養もしくは特定親族特別控除対象者の給与収入を入力
  • 控除額は自動計算
このブロックを入力することで『扶養控除』と『所得金額調整控除』が計算されます

保険料関連控除

保険料関連控除入力

保険料関連控除入力

ここでは生命保険等、各種保険料の控除対象金額を入力します

入力・選択項目

  • 一般保険料(新)控除対象額を入力
  • 一般保険料(旧)控除対象額を入力
  • 介護保険料控除対象額を入力
  • 個人年金保険料(新)控除対象額を入力
  • 個人年金保険料(旧)控除対象額を入力
  • 地震保険料控除対象額を入力
  • 旧長期損害保険料控除対象額を入力
  • 国民年金保険料の支払額を入力
  • 国民健康保険料の支払額を入力
  • 国民年金基金加入者掛金額を入力
  • 小規模企業共済掛金額を入力します(iDeCoの拠出金額はここに入力します)
このブロックを入力することで『保険料控除』が計算されます

入力内容に基づく各項目別の計算結果

入力した内容に基づく計算結果は下図のようになります。

年末調整計算結果

年末調整計算結果

  1. 給与・賞与支払合計から給与所得控除後の金額が算出されます
  2. 給与所得控除後の金額から所得控除の額の合計を引いた額が課税対象額となります(所得控除額の合計は各ブロック毎の控除額の合計値となりますが、住宅ローン控除は含みません)
  3. 課税対象額から所得税率タリフに基づいて源泉徴収額が算出されます
この方に適用される所得税率は10%でそれに基づく年末調整で還付される金額は115,538円となります

まとめ

計算してみましたが、ほとんど影響がないレベルでした。これだけ手間をかける意味がないように思います。

住民税も基礎控除は据え置き、社会保険料の壁は特定の年齢層しか変わらないし、大騒ぎしているわりに...って感じだよね。

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