社員からの問い合わせ
もうすぐ定年退職を迎える社員から会社から退職金をもらえるけど、何か手続きをしなくてはならないのか教えて欲しいとの問い合わせがありました。
退職金をもらったらどんな手続をしなくてはならないのかわからないのだけど。
退職所得控除額を超えるような場合には退職所得の受給に関する申告書の提出と確定申告が必要になります。
退職金が少ない場合はそれほど気にしなくてもいいですよ。
退職所得控除額とは?
退職金は税金が超優遇されており、かなりの金額が控除されます。
退職所得控除額は以下のような計算式で算出できます。
退職所得控除額とは?
退職金は一括で受け取った場合には『退職金所得控除』という大きな非課税枠が用意されています。この非課税枠は勤続年数が長いほど多くなります。
退職所得控除額をEXCELで計算する
- セルB3に入社日を入力します。
- セルC3に退職日を入力します。
- セルD3に勤続年数が表示されます。
- 退職所得控除額が表示されます。
セルC3の計算式の解説
セルC3では日付差を求めるDATEDIF関数を使って勤続年数を求めています。
最初に入社から退職までの勤続年数を求めています。この時のDATEDIF関数の単位のパラメータは年数の”Y”をセットします。
次のDATEDIF関数では単位のパラメータに年数を引いた日数を求める”YD”をセットします。この戻り値が1以上であれば、前のDATEDIF関数で求めた年数に1加算しています。
セルD3の計算式の解説
セルD3ではセルC3で求めた勤続年数を基に勤続年数が21年未満であれば勤続年数に40万円を乗算した結果が退職金所得控除額になるように、勤続年数が21年以上であれば20年を超えた部分の年数に70万円を乗算した結果と20年間分の控除額である800万円を加算しています。
計算結果で確定申告が必要か判断する
退職金は退職所得控除額より少なかったのですが。
退職金には課税されませんので、確定申告も必要ありません。
わかりました。ありがとうございました。
iDeCoか保険会社の個人年金に加入されてませんでした?
加入していましたけど、何故、そのような質問されるのですか?
月々、年金型として受け取ることを考えていますが。
もし、iDeCoや個人年金の受取り総額が退職金と合算して退職所得控除額を超えないのであれば、一括で受け取ったほうがいいですよ。
そうなんですか?
年金型で受取ると公的年金と合わせた受取額に課税される場合もありますし、年金型で受取ると国民健康保険料や介護保険料の負担も大きくなりますので、一括で受取っておいたほうがお得です。
退職金にかかる税金について
定年退職を迎える別の社員からも質問がありました。
退職金には所得税だけではなくて住民税も課税されます。
課税対象額によって15%~55%の税金を納付することになります。
税額計算は次のようになります。
退職所得に対する納税額をEXCELで計算する
- セルB3に入社日を入力します。
- セルC3に退職日を入力します。
- セルD3に勤続年数が表示されます。
- 退職所得控除額が表示されます。
- セルB10に退職金額を入力します。
- セルC10に課税対象額が表示されます。
- セルD10に所得額に応じた税率が表示されます。
- セルE10に所得税、セルF10に住民税が表示されます。
セルC3・D3の計算式の解説
『退職所得控除額をEXCELで計算する』で説明していますので割愛します。
セルC10の計算式の解説
セルC10ではセルB10からセルE3で求めた退職所得控除額を引いた金額に50%乗じて課税対象額を求めています。
セルE10の計算式の解説
セルC10の課税対象額に10%を乗じて住民税額を求めています。
セルD10の計算式の解説
セルD10では所得税率の算出条件に基づいてIF文を使用して課税対象額に対する税率を求めています。
セルF10の計算式の解説
セルC10の課税対象額にセルD10で求めた所得税率を乗じて所得税額を求めています。
退職金は金額が大きいだけに納税額も大きくなりますよね。
納税額を少なくする方法やお得に納税する方法も色々ありますが、人によって条件が異なるため個々に説明できればと思います。『おまけ』の項で少し裏技を紹介しておきます。